永住者の配偶者が永住申請するには?条件・注意点を解説

「配偶者が永住者なら、自分も10年以上日本に住んでいないと永住申請できないのでしょうか?」

「永住者と結婚して3年以上経っています。日本にはまだ数年しか住んでいませんが、永住申請できますか?」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

結論からいうと、永住者の配偶者には、原則10年以上の在留期間について特例があります。

出入国在留管理庁の現在の「永住許可に関するガイドライン」では、日本人、永住者、特別永住者の配偶者について、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していることが、原則10年在留に関する特例として定められています。

ただし、

「永住者と結婚して3年以上経ったから、必ず永住許可がもらえる」

という意味ではありません。

税金、年金、健康保険などの公的義務の履行状況や、現在の在留状況、婚姻生活の実態なども含めて、永住許可の要件を総合的に確認する必要があります。

この記事では、2026年9月時点の出入国在留管理庁の情報をもとに、永住者・特別永住者の配偶者が永住申請する場合の条件と注意点を分かりやすく解説します。


永住者の配偶者は10年住んでいなくても永住申請できる?

原則として、永住許可の要件には引き続き10年以上日本に在留していることが含まれています。

ただし、この10年在留の要件には特例があります。

出入国在留管理庁の2026年2月24日改訂の「永住許可に関するガイドライン」では、日本人、永住者及び特別永住者の配偶者について、

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること

が特例として定められています。

つまり、永住者の配偶者については、原則10年の在留期間を満たしていなくても、この特例に該当する可能性があります。

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」

ただし、これは「結婚3年+日本在留1年を満たせば自動的に永住許可される」という制度ではありません。

10年在留要件の特例を満たしているかどうかに加えて、永住許可に必要なその他の要件についても確認する必要があります。


永住者の配偶者が永住申請するための基本条件

永住者の配偶者が永住申請を検討するときは、まず次の2つの期間を分けて確認することが重要です。

  • 婚姻生活が何年継続しているか
  • 日本に何年以上継続して在留しているか

「結婚3年以上」と「日本在留1年以上」は別々の条件です。

① 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続している

単に法律上の婚姻関係が3年以上続いているというだけではなく、実体を伴った婚姻生活が継続していることが重要です。

例えば、

  • 夫婦として生活しているか
  • 生活費をどのように負担しているか
  • 夫婦としての生活実態があるか
  • 長期間の別居がないか

など、実際の婚姻生活を確認する必要があります。

ただし、別居しているという事実だけで、直ちに永住許可が認められないと判断することはできません。

仕事、家族事情、介護、その他の事情によって別居している場合もあるため、具体的な事情を含めて判断する必要があります。

重要なのは、形式的な婚姻期間だけではなく、実際に夫婦としての生活が継続していることを説明できることです。

② 引き続き1年以上日本に在留している

もう一つの条件は、引き続き1年以上日本に在留していることです。

ここで注意したいのは、「結婚して3年以上」と「日本に1年以上住んでいる」は別の条件だということです。

例えば、

  • 結婚して5年
  • しかし、日本に住み始めてから8か月

という場合、「結婚3年以上だから永住申請できる」と単純に判断することはできません。

婚姻期間と日本での在留期間をそれぞれ確認する必要があります。


「結婚3年+日本在留1年」なら必ず永住できる?

いいえ。必ず永住許可が認められるわけではありません。

「結婚3年以上・日本在留1年以上」という条件は、主として原則10年以上の在留という要件に対する特例です。

この特例に該当したとしても、永住許可については、その他の要件や申請人の在留状況などを確認する必要があります。

例えば、

  • 税金などの公的義務を適切に履行しているか
  • 公的年金に適切に加入・納付しているか
  • 公的医療保険を適切に利用・納付しているか
  • 現在の在留状況に問題がないか
  • 婚姻生活に実体があるか
  • 過去の在留状況に問題がないか
  • 長期間の海外滞在がないか

などを総合的に確認することになります。

出入国在留管理庁のガイドラインでも、永住許可については、納税義務等の公的義務を履行していることや、最長の在留期間を有していることなどが国益要件として示されています。

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」

したがって、

「結婚3年+日本在留1年=永住許可」

と考えないことが重要です。


永住者の配偶者は「素行」と「独立生計」の要件がどうなる?

ここは、永住者の配偶者が永住申請を考えるときに非常に重要なポイントです。

入管法上、永住許可には、

  • 素行が善良であること
  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

という要件があります。

しかし、出入国在留管理庁のQ&Aでは、申請人が日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合、これら2つの要件については適合することを要しないと説明されています。

出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」

これは、永住者の配偶者について、

「収入が少なくても、生活状況は一切確認されない」

という意味ではありません。

出入国在留管理庁は、独立生計要件について、申請人自身に十分な資産や技能がなくても、配偶者等と構成する世帯単位で安定した生活が継続できると認められる場合には、この要件を満たすものとして扱うことも説明しています。

そのため、永住者の配偶者の場合でも、

  • 夫婦がどのように生活しているか
  • 誰が生活費を負担しているか
  • 世帯として安定した生活ができているか

など、申請全体の生活状況を確認することは重要です。

つまり、

「独立生計要件が適用されない」=「収入や生活状況が全く見られない」

ではありません。


税金・年金・健康保険は重要

永住者の配偶者であっても、税金、年金、健康保険などの公的義務の履行状況は重要です。

特に確認したいのは、

  • 住民税
  • 所得税
  • 公的年金
  • 公的医療保険

などです。

永住許可のガイドラインでは、国益要件の一つとして納税義務等の公的義務を履行していることが挙げられています。

そのため、「現在はすべて支払っているから、過去の納付状況は関係ない」と考えるのは適切ではありません。

例えば、納付期限を過ぎてから税金や年金を支払った場合などは、その事情も含めて確認する必要があります。

ただし、過去に支払いが遅れたことがあるからといって、必ず永住許可が認められないと断定することもできません。

重要なのは、

何が未納だったのか、いつ支払ったのか、どのような事情があったのか

を確認し、現在だけでなく過去の公的義務の履行状況も整理することです。

永住申請における年金について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

永住申請で年金未納はバレる?


現在の在留期間3年でも永住申請できる?

永住許可のガイドラインでは、原則として最長の在留期間を有していることが要件の一つとされています。

一方、2026年9月現在、3年の在留期間については経過措置があります。

現在のガイドラインでは、2027年3月31日までの間、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うとされています。

さらに、2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有している人については、その在留期間内に処分を受ける場合、初回に限り「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱う経過措置が定められています。

出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」

そのため、現在の在留期間が3年だからといって、直ちに永住申請をあきらめる必要はありません。

ただし、

「3年の在留期間なら、いつ申請しても問題ない」

という意味でもありません。

経過措置には期限や条件があるため、永住申請の時期を検討する際には、その時点の最新情報を確認することが重要です。


永住者の配偶者が永住申請する前に確認したいチェックリスト

申請を検討する前に、次の項目を確認してみましょう。

  • □ 配偶者が現在「永住者」または「特別永住者」である
  • □ 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続している
  • □ 日本に引き続き1年以上在留している
  • □ 現在の在留資格を確認した
  • □ 現在の在留期間を確認した
  • □ 住民税の納付状況を確認した
  • □ 年金の加入・納付状況を確認した
  • □ 健康保険の加入・納付状況を確認した
  • □ 長期間の海外滞在がないか確認した
  • □ 夫婦の生活実態を説明できる
  • □ 過去の在留状況に問題がないか確認した

特に、「結婚して3年以上」という一点だけで判断するのではなく、婚姻期間、日本での在留期間、公的義務、在留状況をまとめて確認することが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q1.永住者と結婚して3年経てば永住申請できますか?

「3年」は重要な条件の一つですが、それだけで永住許可が認められるわけではありません。

永住者の配偶者については、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留している場合、原則10年以上の在留要件について特例の対象となります。

そのほか、公的義務の履行状況や現在の在留状況なども確認する必要があります。

Q2.日本に10年住んでいませんが、永住申請できますか?

永住者の配偶者には、原則10年以上の在留について特例があります。

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留している場合、この特例に該当する可能性があります。

ただし、10年在留要件の特例を満たせば自動的に永住許可されるわけではありません。

Q3.永住者の配偶者であれば収入が少なくても申請できますか?

永住者の配偶者は、法律上の「素行善良要件」と「独立生計要件」について、適合することを要しない扱いがあります。

ただし、これは収入や生活状況が一切審査されないという意味ではありません。

配偶者を含めた世帯として安定した生活ができているかなど、申請全体の生活状況を確認することが重要です。

Q4.年金を過去に払っていない期間があります。永住申請できますか?

個別に判断する必要があります。

現在すべて納付しているからといって、過去の未納や納付の遅れが必ず問題にならないとはいえません。

一方、過去に未納や納付の遅れがあったからといって、必ず永住許可が認められないと断定することもできません。

加入・納付状況を確認し、いつ、どのような状態だったのかを整理することが重要です。

Q5.現在の在留期間が3年でも永住申請できますか?

2026年9月現在、3年の在留期間については一定の経過措置があります。

2027年3月31日までの取扱いに加え、2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有する方について、その在留期間内に処分を受ける場合の初回の申請についても経過措置があります。

ただし、申請時期や在留期間によって扱いが異なる可能性があるため、申請する時点の最新情報を確認することが重要です。


まとめ|永住者の配偶者には10年在留要件の特例がある

永住者の配偶者は、原則10年以上の在留という永住許可の要件について、特例の対象となります。

具体的には、出入国在留管理庁のガイドライン上、

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること

が条件として示されています。

そのため、10年以上日本に住んでいない場合でも、永住者の配偶者として永住申請を検討できる場合があります。

ただし、

「結婚3年+日本在留1年=永住許可」ではありません。

税金、年金、健康保険などの公的義務の履行状況、現在の在留状況、婚姻生活の実態、過去の在留状況、長期出国の状況などを含めて、永住許可の要件を総合的に確認する必要があります。

また、「永住者の配偶者等」という在留資格を持っていることと、「永住者」の在留資格を取得することは別の制度です。

永住者の配偶者として永住申請を検討している場合は、単に「結婚して3年経ったか」だけで判断するのではなく、これまでの在留状況や公的義務の履行状況まで含めて準備することが重要です。


関連記事


永住者の配偶者として永住申請を検討している方へ

永住者の配偶者の場合、10年在留の原則について特例があるため、一般的な永住申請とは確認するポイントが一部異なります。

特に、

  • 結婚して3年以上経っている
  • 日本に1年以上継続して在留している
  • 現在の在留期間が3年である
  • 過去の年金や税金の納付状況に不安がある
  • 夫婦が別居している期間がある
  • 長期間海外に滞在したことがある

といった場合には、単純に年数だけを確認するのではなく、これまでの在留状況を含めて申請可能性を検討することが重要です。

当事務所では、永住者の配偶者の方について、婚姻期間、日本での在留期間、公的義務の履行状況などを確認しながら、永住申請についてご相談いただけます。

永住申請について詳しく見る

永住申請について相談する

上部へスクロール